近未来を見据えた音質と快適さを追求「リサウンド・ビビア」「リサウンド・サビー」

私たちが日ごろ身近に感じるようになってきたものには、“準・社会インフラ”と呼べるような新しい製品やサービスがあります。近年はAI(Artificial Intelligence 人工知能)に代表される技術革新により、便利でいろんな機能を備えた製品やサービスが現われ、私たちもそれらのテクノロジーの進化を活用しながら過ごすようになりました。

そうした中、デンマーク発祥の補聴器メーカー「GNヒアリング」では、今年5月に次世代型の補聴器「リサウンド・ビビア™」と「リサウンド・サビー™」を同時に発売しました。この2器種は騒音下でのきこえと音質の良さにこだわって開発を行ってきた同社が最新のテクノロジーを用いて、きこえと音質をさらに進化させた補聴器です。

「ビビア」の大きな特徴は、より自然なきこえを実現する「インテリジェンス・オーグメンテッド(Intelligence Augmented)=IA」の思想でデザインされた補聴器であること、そして「ビビア」「サビー」の両シリーズには、いずれ社会インフラとして実装されるであろう「Auracast™(オーラキャスト)ブロードキャスト」を搭載したことが挙げられます。

そこで今回のブログでは私、福澤が、GNヒアリングジャパン株式会社の本社がある横浜市みなとみらいを訪れて、それらの特徴や新製品の魅力を直接、マーティン・アームストロング社長(以下、アームストロング社長)に伺ってみました。

人間を主体に判断するIAを実装

福澤:大阪では万国博覧会が始まり、関東エリアでもさまざまなイベントが開催されるようになって、各地でにぎわいを見せています。大勢の人がいる場所に出かけることも多くなりましたが、補聴器を使用する人にとっては聞き取りたい音とそうではない雑音が交差するわけで、私も仕事柄、騒音下での聞き取りの質にこだわって開発を続けられているGNヒアリングの新製品が出たとなると、やはり気になるものです。

アームストロング社長:たしかに騒音下での聞き取りに悩んでいる方はとても多いですから、当社でも真に騒音下でのきこえにこだわって製品開発を続けてきています。その最新の製品が5月中旬から発売を開始した「リサウンド・ビビア™」と「リサウンド・サビー™」の2器種となります。

福澤:実は、先日すでにその「ビビア」デモ器をお借りして(笑)、1週間ほど装着してみたのです。聞き取りはどんな感じなのかを確かめるため、当社スタッフと一緒に居酒屋に繰り出して試してみました。お酒の場ですから当然、周囲は騒音だらけ。それでも社員との会話に不自由は感じないくらい、音質はとてもクリアでした。

アームストロング社長:ご評価いただいてありがとうございます。「ビビア」は昨年発売した「リサウンド・ネクシア™」の後継機器になるのですが、全周囲360°の音の聞き取り性能を向上させた「ネクシア」の機能に加えて、聞きたいと思った音をより自然に聞けるよう、最新のチップを搭載したことが大きな特徴となっています。この技術は「インテリジェンス・オーグメンテッド(Intelligence Augmented)=IA(アイエー)」と呼ばれるもので、オーグメンテッドとは「拡張された(機能)」との意味です。分かりやすい例を今、私の行動で示してみましょう……(立ち上がって歩いて移動)、今こうすると、福澤さんはごく自然に私の歩く姿に沿って目線を移動されましたね。これがAI(人工知能)から私どもが進化させたインテリジェンス・オーグメンテッド=IAです。つまり人間を中心に据えて、人間本来の判断や決定をAIが支援し、今どの音にフォーカスすべきかをサポートしてくれる機能なのです。

福澤:なるほど、分かりやすい実演をありがとうございました。居酒屋でもいろいろと試してみたのですが、補聴器の自動的な指向性の効かせ方では、基本的に前と後ろになっている機器が多いのですが、「ビビア」は右や左に座ったスタッフの声がちゃんと聞こえている、ああ進化したなとの印象を持ちました。その上、「ネクシア」と同じ本体26ミリ以下の極小サイズにこの機能を詰め込んだ技術力にも驚いています。

アームストロング社長:新開発したDNNチップ(ディープニューラルネットワーク)が、インテリジェントノイズトラッカーとして不要な雑音を制御するので、左右からの声もクリアな聞こえが実現できています。また、本体のサイズに関しては私どもの現時点での調査ではありますが、依然として世界最小クラスだと自負しています。とても軽く装着感も良いですし、充電タイプでは十分な使用時間を確保させましたので、より快適にお使いいただける製品だと思っていますね。

Auracast™機能を全クラスで搭載した

福澤:ところで今回は「リサウンド・サビー™」も同時に発売されましたが、その意図も伺いたいと思います。

アームストロング社長:上位器種としては「ビビア」ですが、そこまで先端技術を搭載したものでなくても、とにかく快適に使用できる補聴器を求めているユーザーに向けた製品が「サビー」です。また、「ビビア」とともに「サビー」においても全クラスで「Auracast™(オーラキャスト)ブロードキャスト」を搭載したこともあり、同時に発売したのです。

 オーラキャストはBluetooth®の拡張性機能でして、今春開幕した大阪万国博覧会のイギリス館でも、音声案内にはオーラキャストが使用されています。日本でもおそらく数年後には美術館や映画館、空港や病院などの社会インフラ施設にも順次、実装されていくと思います。自宅でテレビを楽しむ際にも、従来よりさらにクリアな音質で別の部屋に移動しても聞こえるのがオーラキャストです。その機能を「ビビア」「サビー」の製品にフル装備したことも今回の大きなトピックです。

福澤:他社製品ではまだオーラキャストを全クラスフル装備した製品はないです。これまでも業界初、世界最小クラスなどにこだわられてきたGNヒアリングらしいなと思います。

アームストロング社長:常に業界のフロントランナーでありたい、それが社員の働くモチベーションとなり、同時に未来を見据えた技術開発の原動力ともなっています。そして5年、10年前に比べると、やはり技術の進化はとても早くなってきていますので、ユーザーの皆さんに新製品によるメリットをいち早くお届けできるようなスピード感も大切にしているのです。

「サビー」においても、よりお求めやすい価格でサイズは妥協することなく引き続き小さく、こちらもIAの技術を盛り込んで自然な聞こえを提供できる製品となっています。

 音質はもちろんですが、装着者によって望まれる機能、使い心地の良さ、快適な使用感と持続性など、それぞれニーズは異なるかと思います。「サビー」「ビビア」においては、それらの機能もしっかりと満たした製品に仕上げました。

いずれ目立たないRIC型が主流になる

福澤:ご存じかと思いますが、私どもは日々、販売の現場でそれぞれのお客様に最もふさわしい製品をお勧めする認定補聴器技能者です。その観点から伺うのですが、補聴器を求めるお客様に前製品の「ネクシア」と今回の「ビビア」では、どのような違いがあると説明するのが適切でしょうか?

アームストロング社長:「ネクシア」はオーラキャスト機能や360度から選択して聞きたい音をクリアな音質で提供する機器です。現在も販売してご好評をいただいております。その後継となる「ビビア」は、先ほど申し上げたIAの技術と最新DNNチップを搭載し、そこからさらに発展させた自然な聞こえを実現させました。また、タイプとしての違いもあり、「ネクシア」は耳あな型や、日本人ユーザーの方には慣れ親しまれた耳かけ型(BTE)を主軸にしています。一方、「ビビア」と「サビー」はRIC(リック)型となります。世界市場では現在、このRIC型が8割近くなっていて、日本においてもいずれ主流になると考えています。RIC型の特徴は、装着していることが他人に分かりにくいことです。女性など髪の長い方は完全に隠れてしまいますのでね。そのようにRIC型が好ましい方は「ビビア」「サビー」を、また「ネクシア」の耳かけ型も非常に細いチューブとなっていますので、ライフスタイルや必要性に応じて、どちらを選んでいただいてもと思っています。

福澤:コロナ禍の時期では、耳かけ型だとマスクの紐が絡むという事例もありましたね。

アームストロング社長:そうです、そのため当社調査では日本でも一時的に4割近くまで耳あな型が増えたこともありましたが、現在ではシェアも落ち着いてきて、RIC型のシェアが上がってきていますね。

アップデイトしたアプリ開発でより快適に操作可能

福澤:「ビビア」や「サビー」をどのような方にお勧めすればいいのか、そのイメージがだいたいつかめてきました。とは言え、販売の現場でも多いニーズはやはり騒音下での聞き取りの質なのです。その意味からも、これまで使っていた補聴器の騒音下での聞き取りが良くない、いまひとつ満足できないという方には「ビビア」、これはお勧めする価値がある製品だなと感じています。「サビー」の形状も上位機種と同じで小さいですし、操作性も快適ですので、お勧めしやすい器種と言えるかと思います。

アームストロング社長:騒音下での聞き取りの質には自信を持っています。パソコンや電話、リモート会議や自宅でのテレビ視聴においても、やはり音質の良さというのはとても重要です。私の母もテレビを見る時間がとても長いのですが(笑)、従来の補聴器ですとテレビ外からいろんな音が聞こえてきますので、その調整がとても難しかった。しかし今ではオーラキャストの技術やアプリの設定によって、トイレでも庭でもどこに移動してもテレビの音がクリアに聞こえるようになりました。テレビの音声をラジオや有線放送のようにして聞きながら、別の作業をしている方もいると思いますので、そんな使い方もできるというわけです。

福澤:私もアプリをスマートフォンに入れて、今は会話優先モードにしていますけど、今回から新たに搭載されたモードもあって、ボタン押すだけで快適優先や、騒音下での聞き取りも選べるようになっていますね。自分がいる空間が移り変わるたびに、それぞれに適した聞こえ方が選べるのはとても便利だなと感じました。補聴器の本体もかなり小さくなっていますから、ボタンがあってもそれを操作するのは難しいですから、スマホを持っている方は皆さんアプリで操作するようになっています。そのため本体だけじゃなくて、現在では連動するアプリの開発も大切ですね。

アームストロング社長:そうなのです、次世代の補聴器がなぜ必要なのか、それは周りのいろんな機器がどんどん進化・発展していますから、補聴器もアプリも同じように進化しなければ使い勝手が悪くなってしまう。例えば海外ですと現在はGoogleマップを見てみると、オーラキャストが実装されている店舗や施設が表示されるようになっています。将来的には車にも実装されるはずですし、地震などの自然災害が起こった際の避難指示なども、いずれオーラキャストによって伝えられるようになると思っています。

福澤:たしかに補聴器においても、今後はオーラキャストの技術や規格が標準的な仕様になってきそうです。補聴器を購入する方は、今からオーラキャストが搭載された製品を使うことで、いろんなことができるようになる。それも補聴器選びの一つの要素になりえると思いますね。

アームストロング社長:ええ、ですからGNヒアリングのどの製品を選んだらいいのか、製品を送り出す側の立場から言えることは、値段と求められている機能のちょうどよい点を組み合わせた形で選ばれるのがベストだと思っています。初めて補聴器を購入される方は比較的、低価格の製品を選ばれる傾向にありますが、お買い替えの際にはやはりその機能の違い、実装されているテクノロジーによる快適さなども理解された上で、「ビビア」「サビー」という次世代型の補聴器も購入の候補にしていただければ幸いです。