【工場レポート】 「オーダーメイド補聴器」は、こうつくられる。ミリ単位の精度にこだわるオーティコン補聴器のファクトリーを特別訪問(デマント・ジャパン)

補聴器には、耳に引っ掛ける「耳かけ型」と、耳の穴にすっぽり収まる「耳あな型」があります。オーダーメイドの「耳あな型」を選ぶ際は、ご自身の耳に合わせた補聴器を精密につくることで、音漏れによるハウリングを防ぎ、快適で安定した装着感を実現します。

今回のブログでは、そんなオーダーメイド補聴器の製作現場をご紹介。前回のブログにも登場した「オーティコン補聴器」のファクトリーに潜入し、世界に一つだけの補聴器がどのようにつくられているのか、その一連の流れに迫ります。

片耳わずか30秒!耳型の細部まで精密にスキャン

① 耳型をモデリング

オーダーメイド補聴器づくりは、補聴器専門店で採取されたお客様の「耳型」を3Dスキャナーで読み込むところからスタートします。耳の形は千差万別。サイズが小さかったり細かったりすると、外耳道(耳の穴から鼓膜まで続く約3cmの器官)の先端まで完全に型が取れていないこともあり、その場合は経験豊富なスタッフがデータ上で微修正します。

「今は片耳あたり、わずか30秒ほどでスキャンが完了します。昔は写真の現像のように外からの光を遮断して、一つひとつ時間をかけて読み込んでいましたが、現在は両耳同時にスキャンできるようになり、効率も精度も飛躍的に向上しました」

そう教えてくれたのは、オーティコン補聴器のスキャン担当者。さらに近年では、物理的なシリコンの耳型ではなく、販売店から直接「3Dデータ」が送られてくるケースも増えていると言います。

「レーザーで耳の中を立体的に撮影する『オトスキャン』という機器が登場したことで、お客様の耳をデータ化できるようになりました。耳に直接触れずに型が取れるため、安全かつスピーディーに次の作製工程へ進むことができます」

最新テクノロジー×熟練スタッフ。ミリ単位の精度を実現する職人技

② 3D出力(シェルの作製)

スキャンしたデータをもとに、『シェル』と呼ばれる補聴器の外殻(ガワ)を作製。高性能な3D出力機を使い、約40~60分で完成します。

「数十人分のモデリングデータを機械に送り、まとめてシェルを造形します。出力機械は2種類あり、通常サイズ(上記写真の機械)なら一度に10~15個、大型サイズの機械なら30~50個の同時出力が可能です」

そう説明しながら、担当者が造形したばかりの美しいシェルを見せてくれました。

③ 基板の組み込み

続いて、補聴器の心臓部となる「基板」やスピーカー、マイクなどの細かい部品を、シェルの土台となる「フェイスプレート」に組み込んでいきます。スタッフは顕微鏡を覗き込みながら、ピンセットを使い、ミリ単位の精度でパーツを一つひとつ配置していました。

「お客様によって耳の形や聴力は異なります。つまり、シェルの内部空間も一人ひとり違うため、機械で自動的に部品を組み込むことができないんです。ですから、この工程はすべて手作業。顕微鏡の映像をモニターに拡大表示させながら、髪の毛のように細い配線を慎重に行い、その方の耳に最適な配置へとセッティングしています」

耳型到着から4営業日後に出荷。装着感と聞こえを両立するオーダーメイド

④ 仕上げ(ヤスリがけ、コーティング)

基板を組み込んだフェイスプレートとシェルを貼り合わせ、その周囲を滑らかに削り出していきます。

「ほんの少しでも隙間や段差があると、不快なハウリングの原因になってしまいます。そのため、粗さの違うヤスリを使い分けながら、二つのパーツが完全に一体化するまで丁寧に削っていきます。耳への“装着のしやすさ”と“ハウリングのしにくさ”。熟練の職人が、その絶妙なバランスを見極めながら仕上げていきます」

そして最後に行うのが、表面のコーティング作業です。小さな刷毛でアクリル系の溶剤を一つひとつ塗り、UVライトでしっかりと乾燥させれば、世界に一つだけのオーダーメイド補聴器の完成です。

オーティコン補聴器では、補聴器専門店から耳型が届いてから、およそ4営業日というスピードで完成品を発送しているそうです。

補聴器は毎日身につける体の一部のような存在だからこそ、自分の耳にぴったりフィットした、ストレスフリーなモノを使いたいですよね。ぜひ今回の工場見学の記事を参考に、信頼できる専門店で、あなたにとって「理想の補聴器」を手に入れてください。