「まるで音の専門家が耳の中に」 3種のAIが連携する『OMEGA AI』(スターキー社)

ここ数年で驚くほどの進化を遂げているAIは、あらゆる産業に革新をもたらし、私たちの生活をより豊かにしています。補聴器にも高度なAIが搭載されるようになり、その機能は飛躍的に向上しました。

今回のブログでは、最新のAIによって今までにない音空間を実現するスターキー社の『OMEGA AI(オメガAI)』をご紹介します。スターキージャパンの高井浩希社長を当社にお招きし、その驚きの性能と今後の可能性について、たっぷりとお話を伺いました。

会話理解度28%UP! 騒がしい場所でも「自然な聞こえ」を実現

福澤:御社の快適プレミアムAI補聴器『EDGE AI(エッジAI)』がリリースされてから、まだ1年ほどしか経っていません。なぜ、このタイミングで新たなAI補聴器を発売なさったのでしょうか。

高井社長(以下、高井):当社は2019年以降、7年間で5つのAI補聴器を開発してきました。そんななか、近年飛躍的な進化を遂げている、DNN(ディープ ニュートラル ネットワーク)というAIテクノロジーによって、補聴器の性能を一気に高めることができたんです。

福澤:今までもDNNを搭載した補聴器を販売していたと思いますが、具体的にどう進化したのですか。

高井:当社は、きこえを司る「脳がどのようにして“聴こえ”を判断しているのか」という点に着目して商品開発を行っています。周囲の環境や声がする方向、ユーザーの姿勢の変化などに応じて、聞こえの状態をDNNが自動調節します。
このDNNを3つ搭載した『OMEGA AI』は、いわば脳神経の役割を分担・連携しながら、複数の処理を同時に行うことで、“騒音下における会話の理解度”を28%向上させることができました。

『OMEGA AI』のDNNは「DNN360」と呼ばれ、世界で初めて複数のDNNを補聴器に搭載(※)。ユーザーは特別な操作を必要とせず、AIを意識しなくても自然に聞こえる環境を実現しました。

さらに、補聴器の頭脳となる「G3プロセッサー」をフルモデルチェンジしています。これにより音の解像度が高まり、細かな音もよりクリアに判別できるようになりました。

福澤:まさに、音の専門家が補聴器の中に入っているような状況ですね。ユーザーからの反応はいかがですか?

高井:「横や後ろから話しかけられても自然に対応できるようになった」、「孫との会話で聞き返すことが減った」といった声がたくさん届いています。特に、ショッピングセンターなどの騒がしい場所で、聞こえの質の高さを実感いただいています。

※2025年10月時点。補聴器におけるDNN駆動型指向性・空間認識技術として。Omega AI 24の耳かけ

「転倒防止」や「オーラキャスト」検索も。アプリ連携で広がる可能性

福澤:「聞こえの質」以外の部分で、『OMEGA AI』ならではの特徴を教えてください。

高井:当社の専用アプリ「My Starkey(マイ スターキー)」との連携で実現する、「健康の維持増進」と「スマートアシスタント」です。
今までの製品にも、万が一転倒した際に登録者へ連絡が入る機能や、転倒前に注意を促すバランス評価機能はついていたのですが、今回新たに一歩踏み込み、転倒防止のリスク低減につながる、身体のバランス維持のための機能が追加されました。より健康的な生活が送れるように、アプリ上でバランス感覚を鍛えるエクササイズを提案してくれます。

福澤:健康面においてもグレードアップしたのですね。「スマートアシスタント」についてはいかがでしょうか。

高井:補聴器へ音声をリアルタイムに届ける次世代ワイヤレス公共音声技術「オーラキャスト(Auracast)」サービスと連携できるようになりました。普及までには少し時間がかかるかもしれませんが、身近なところではオーラキャスト対応の映画館などですぐ接続いただき、席を選ばず映画を鑑賞いただけるようになりました。難聴の方は映画館に行くのを諦めがちだったと思いますが、これからは映画館で新しい感動体験を味わっていただくことができます。

福澤:それは素晴らしいですね。ほかにも、駅のホームをはじめ、公共交通機関でアナウンスが聞き取りづらいというケースも多いのではないでしょうか。
オーラキャストのインフラはまだまだ整備段階ですが、交通機関の遅延アナウンスなどもきちんと聞こえる環境になれば、より安心して外出できるようになると思います。

最大51時間駆動。汗や水に強く、落としても壊れにくい

福澤:「外出中に電池が切れてしまうのではないか」、「大雨の日に出かけると濡れて壊れてしまうかもしれない」と、補聴器ユーザーは常にさまざまなストレスと戦いながら生活していると思います。『OMEGA AI』を使うことで、そんなストレスから解放されるのでしょうか。

高井: はい。『OMEGA AI』は「BEYOND IP68」という基準をクリアしており、汗や水に強い独自の多層保護構造と密閉設計を施しています。耐久試験はスターキーの本社があるアメリカで行っています。実際、日本のような高温多湿な環境から、マイナス20℃を超える極寒の地域まで、あらゆる環境で正常に動作することを確認しています。また、万が一落としてしまっても壊れないなど、強度を高めています。
さらに、複数のDNNを常時駆動させながらも、最大51時間のバッテリー駆動を両立する省電力設計のため、1日中使ってもバッテリー切れを心配する必要はありません。『OMEGA AI』は高い機能性に加え、タフさも兼ね備えています。

福澤:それなら、登山やスポーツクラブでの運動など、アクティブな方でも安心して使えますね。汗をかいて顔を拭く時に補聴器も一緒に拭いていただければ、清潔に保てるでしょう。あとは長くお使いいただくために、販売店での定期的なメンテナンスも忘れずに行ってほしいですね。

AIにはできない微調整。専門家のチューニングで補聴器は本来の性能を発揮する

高井:最先端のAIテクノロジーによって、優れた「聞こえ」の空間を実現する『OMEGA AI』ですが、快適にご利用いただくためには、一人ひとりの聞こえの状況に合わせた最初のチューニングやフォローアップが必要です。特にこの出発点のチューニングはAIにはできないので、福澤社長のような認定補聴器技能者など、専門家の方に行っていただきます。

福澤:補聴器を買う際は、まず耳鼻咽喉科を受診いただいた後、聴力に合わせて補聴器を設定しますが、ここで算出されたデータはあくまで基準値です。耳の中の形状や音の感じ方、生活スタイルは一人ひとり異なるため、ヒアリングしながら微調整していきます。

高井:病気になった時と同じ考え方ですよね。お医者さんが症状に合わせて薬を処方してくれるように、補聴器も専門家に診てもらい、その人に合った状態にしてもらわなくてはなりません。

福澤:私たちはよく「補聴器に命を吹き込む」と言っていますが、補聴器本来の性能を発揮するためには、購入後の正しいチューニングが必要だということを、皆さんにも認識いただきたいですね。

補聴器は趣味や好きなことを楽しむためのツール

福澤:補聴器に対してネガティブなイメージを持っている人は多いと思いますが、最近の補聴器はスタイリッシュで、ファッションの一部にもなりつつありますよね。

高井:おっしゃる通りです。『OMEGA AI』も、相手の耳元を意識して覗き込まない限り、補聴器を装着していることに気づかれないと思います。

福澤:「何でもっと早くつけなかったんだろう」というユーザーも多いですし、補聴器によって生活は豊かになり、人生の可能性も広がると思います。現在の日本における補聴器のメインユーザーは70~80代ですが、アクティブな60代以下の方たちも、ぜひ導入をご検討いただきたいですね。

高井:聞きづらさによって、聞き取ろうとすることにエネルギーを使い、夕方には疲れ果ててしまう――、そんな難聴の方は少なくありません。本来やりたかったことは「聞くこと」ではなく、趣味や自分の好きなことですよね。『OMEGA AI』はそんなユーザーの想いに寄り添い、聞こえの悩みを忘れさせてくれる補聴器です。

福澤:ここ数年で、日本の約35%の市町村で補聴器導入に関する補助制度が整備されてきています。今後もさらに拡充されていくと思われますので、こういった制度も活用しながら、疲れ知らずだった頃の本来の自分を取り戻してほしいです。そして、DNNによって素晴らしい進化を遂げた『OMEGA AI』の魅力を、一人でも多くの方に届けていきたいと思います。

高井:ぜひ、よろしくお願いいたします。